第4話 犬も人も
～日曜日・ミドリさん宅～
～リビングにて～
アゲアゲくん
アーゲアゲアゲ♪
アゲアゲくん
アゲアゲくん♪
アゲアゲくん
アゲアゲ界からやってーきた♪
ミドリさん
朝からご機嫌だねぇ。ポニョ？
アゲアゲくん
あ、おはようございます！
ミドリさん
おはよう。
アゲアゲくん
その格好・・。
アゲアゲくん
おでかけですか？
ミドリさん
散歩してくるよ。
アゲアゲくん
散歩？
ミドリさん
ウチ犬飼ってるの。
アゲアゲくん
あぁ。庭にいますね。
ミドリさん
一緒に行く？
アゲアゲくん
行きます！
～公園～
ラッシー
ワンワン！
アゲアゲくん
あっはっは。いけいけー♪
ラッシー
ワンワン♪
ミドリさん
楽しそうだな。気が合うのかな。
アゲアゲくん
名前はなんと言うのですか？
ミドリさん
ラッシーだよ。
アゲアゲくん
いけ！ラッシー♪
ラッシー
ワンワン♪
アゲアゲくん
あっはっはー♪
ミドリさん
これから散歩はアゲアゲくんに任せようか。
ミドリさん
あ！
ミドリさん
またあのお母さんだ。
お母さん
いないいないばぁー♪
お母さん
いないいないーー。
お母さん
ばぁっ♪
赤ちゃん
きゃっきゃ♪
ミドリさん
スゴい・・・。
ミドリさん
何なんだろう。あの優しさオーラ。
ミドリさん
私には出来ないなぁ・・。
ミドリさん
「いないいないーばぁ♪」も昔やってみたけど・・。
ミドリさん
ぜーんぜん楽しくなかった。
お母さん
いないいないー♪
お母さん
ばぁ♪
ミドリさん
私とぜんぜんちがう・・・。
ミドリさん
はぁ、いいなぁ。
アゲアゲくん
ラッシーとつげきぃ♪
ラッシー
ワンワン♪
ミドリさん
わ！
ミドリさん
まって！ラッシー！舐めるな！
アゲアゲくん
あっはっは。
ミドリさん
もう、なにさせるのよ！
アゲアゲくん
人と比べて凹んでますねぇ。
ミドリさん
ぐさっ！
アゲアゲくん
またあのお母さんですね。
お母さん
いないいないーばぁ♪
ミドリさん
まだやってる・・・。
アゲアゲくん
「あのお母さんと自分は違う」
アゲアゲくん
そんなこと思ってますか？
ミドリさん
うん。思っているよ。
アゲアゲくん
どこがどう違うのでしょう？
ミドリさん
えー？そんなのいっぱいだよ。
アゲアゲくん
教えてください。
ミドリさん
優しさオーラ全開の人っているじゃない？
アゲアゲくん
うん、いますね。
ミドリさん
ああいう人に劣等感を感じちゃって。
ミドリさん
私さ、子どもに怒ってばっかなんだ。
ミドリさん
でも人前では優しいフリしてるの。世間の目が怖いから。
ミドリさん
人の目がないと怒鳴り散らしてヒステリックになって・・。
ミドリさん
自分で思うんだ。「私はなんて冷たい人間なんだろう」って。
ミドリさん
本性が醜いと思えて仕方ない。
ミドリさん
子どもと遊んでも全然楽しくない。
ミドリさん
「いないいないばぁ」なんてもってのほか。何が楽しいんだが。
アゲアゲくん
うん。分かりました。
ミドリさん
？？
アゲアゲくん
大丈夫です。
アゲアゲくん
ミドリさんの本性は醜くないですよ。
アゲアゲくん
あのお母さんとミドリさん、同じですよ。
ミドリさん
そうじゃないから悩んでいるんだけど・・。
アゲアゲくん
同じです。
ミドリさん
どこが？
アゲアゲくん
根っこが。
ミドリさん
根っこ？
アゲアゲくん
人間根っこはみな同じなのですよ。
ミドリさん
根っこはみな同じ？？
アゲアゲくん
優しい人になる方法を話しましょう。
ミドリさん
あ、うん。よろしく。
アゲアゲくん
ラッシーをみてください。
ラッシー
ワン♪
アゲアゲくん
秋田犬、土佐犬、シーズーにパグやブルドック。
アゲアゲくん
ラッシーは柴犬ですね。
ラッシー
ワン♪
ミドリさん
そうだね。言葉分かるの？
アゲアゲくん
「犬」ってなんだかんだで同じじゃないですか。
ミドリさん
まぁ、そうだね。
アゲアゲくん
人間も同じですよ。
アゲアゲくん
なんだかんだでみんな同じなのです。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
めちゃくちゃ悪い犯罪者も。
アゲアゲくん
本気で人を助ける優しい人も。
アゲアゲくん
根っこは同じ。
ミドリさん
！？
アゲアゲくん
犯罪者も善人も。実は大して変わらない。
ミドリさん
ちょ、ちょっとそれは・・。
アゲアゲくん
一般常識ではないですね。
ミドリさん
そうだよ。悪い人ってやっぱりいるよ。
アゲアゲくん
悪いことをする人はいますね。
ミドリさん
じゃあ・・。
アゲアゲくん
人は枝葉に目がいきやすいのですよ。
アゲアゲくん
土に埋まる根に意識が向かない。
アゲアゲくん
悪い事へ目がいき、根っこにある問題に気がつかない。
アゲアゲくん
人はそういう生き物なのです。
ミドリさん
むー。
ミドリさん
「根っこにある問題」ってなに？
アゲアゲくん
環境です。
ミドリさん
あ、えーと。
アゲアゲくん
あっはっは。前回話しましたね。第3話思い出してね。
アゲアゲくん
おさらいしましょう。
アゲアゲくん
優しくなれない理由は二つです。
アゲアゲくん
個人因子と環境因子。
ミドリさん
個人のせいと環境のせい。だっけ？
アゲアゲくん
そうそう。
アゲアゲくん
人は本質的に優しいのです。
ミドリさん
・・・つまり。
ミドリさん
個人のせいで人は優しくなれないわけじゃない？
アゲアゲくん
そうそう。
アゲアゲくん
根っこは環境の問題。個人の性格は枝葉の問題。
アゲアゲくん
根っこをなんとかすれば、人は思いやりを持つようになっていきます。
アゲアゲくん
適正な環境になれば。人は必ず優しくなります。
ミドリさん
個人の性格は全く関係ないの？
アゲアゲくん
あ、全くではないです。個人の性格にもアプローチします。
ミドリさん
そうだよね。
アゲアゲくん
ミドリさんの性格については後でレクチャーいたしますよ。
ミドリさん
・・。なんか怖いなぁ
アゲアゲくん
あっはっは。大丈夫。
アゲアゲくん
虫歯と同じ。治したあとは快適そのものですよ。
アゲアゲくん
とはいえ性格は大分あとの話。
アゲアゲくん
優しくなれない環境をチェックするのが先です。根っこは環境。
ミドリさん
あのお母さんと私は環境が違うわけ？？
アゲアゲくん
そうですよ。
アゲアゲくん
今の環境も。育った環境も。ぜんぜん違うのですよ。
ミドリさん
ホント？
アゲアゲくん
ホント、ホント！アゲアゲくん嘘つかない！
アゲアゲくん
みんな自分を標準だと思います。
アゲアゲくん
「自分はそうだから相手もきっとそうだ」
アゲアゲくん
そう思うのが人の性。
アゲアゲくん
自分の育った環境は標準的だと思ってしまうのですね。
ミドリさん
あ！
ミドリさん
だから性格が悪いのは、個人のせいだと思っちゃうのか。
アゲアゲくん
環境のせいだと気づけないのですね。
アゲアゲくん
人間根っこはみな同じです。
アゲアゲくん
バカにされたらイヤだし、褒められたい。
アゲアゲくん
一人は寂しいし、愛されたいのです。
アゲアゲくん
テレビに映る有名人も。
アゲアゲくん
優しく穏やかな人も。
アゲアゲくん
とんでもなく悪い人も。
アゲアゲくん
求めるものはみな同じなのです。
ミドリさん
愛されたいのかな・・。
アゲアゲくん
その通り。
アゲアゲくん
性格が悪くなるのは、悪くなる環境にいたということ。
アゲアゲくん
僕は性格の悪い人を責める気はないのです。
ミドリさん
「相応の理由があるんだな」って思うの？
アゲアゲくん
そうです。
アゲアゲくん
人間根っこはみな同じ。
アゲアゲくん
「いないいないばぁ」をする、あのお母さんも。
アゲアゲくん
ミドリさんと同じ環境になったら、同じようになるのですよ。
ミドリさん
・・・じゃあさ！
ミドリさん
私があのお母さんと同じ環境になれたら。
ミドリさん
私もあんな優しくなれるの？？
アゲアゲくん
うん。そう思ってOKです！
ミドリさん
子どもと遊べるようにもなれるのかな・・。
アゲアゲくん
なれますよ。
ミドリさん
あのお母さんの環境が知りたい・・・。
アゲアゲくん
あっはっは。そうなりますよね。
ミドリさん
いいこと思いついた！
アゲアゲくん
？
ミドリさん
アゲアゲくん透明になれるじゃない？
アゲアゲくん
はい。
ミドリさん
・・スパイしてきてよ。
アゲアゲくん
あっはっは。
アゲアゲくん
面白いこと言うようになってきましたね！
アゲアゲくん
良い感じです。
ミドリさん
？
アゲアゲくん
スパイの必要はありません。
ミドリさん
そうなの？
アゲアゲくん
僕、知ってますから。
ミドリさん
あぁ、そうだね。
アゲアゲくん
環境を整えたら優しくなれます。
ミドリさん
だから、どんな環境に整えたらいいのよ？
アゲアゲくん
そこですよね。
アゲアゲくん
ではどんな環境が必要か・・・。
ミドリさん
ど、どんな環境が必要なの！？
アゲアゲくん
それは・・・。
ミドリさん
そ、それは・・。ドキドキ。
アゲアゲくん
お家に帰ってから話します。
ミドリさん
ガクっ！
アゲアゲくん
お腹空きました！
ミドリさん
引っ張らないでよ、もう。
アゲアゲくん
あっはっは。
アゲアゲくん
今回は「人間根っこはみな同じ」と覚えておいてください。
アゲアゲくん
みんな一緒の人間なのですよ。
アゲアゲくん
自分を否定しちゃうこと、あると思います。
ミドリさん
・・・うん。ある。
アゲアゲくん
それは幻なのです。サゲサゲの幻影。
ミドリさん
ん？サゲサゲの幻影？？
アゲアゲくん
続きはお家に帰ってから！
ミドリさん
あはは。そうしよっか。私もお腹空いた。
ラッシー
ワン♪
アゲアゲくん
ラッシーも空いたみたいですね。
ミドリさん
帰ってご飯にしよう。ラッシーもね。
アゲアゲくん
はーい♪
ラッシー
ワン♪
アゲアゲくん
いけ！ラッシー♪ご飯だぞ！
ダダッ！（ラッシー走り出す）
ラッシー
ワンワン♪
ミドリさん
ちょっと私だけ置いてかないでよ！
【アゲアゲくんの教え】
人間根っこはみな同じ。