第2話 気持ちこそ太陽
~歩道にて~
ミドリさん
もうすぐ私の家だよ。
アゲアゲくん
あっはっは。
ミドリさん
?
アゲアゲくん
あっはっは!
ミドリさん
・・・?
アゲアゲくん
いやーはっはっは!!
ミドリさん
なに?なにがおかしいの?
アゲアゲくん
また一緒に歩けることが嬉しいのですよ。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
キミって。
ミドリさん
「前世の私」に会ったんだよね?
アゲアゲくん
はい!
ミドリさん
一緒にいて楽しかった?
アゲアゲくん
それはもう!
ミドリさん
ホントに!?
アゲアゲくん
ホント、ホント!アゲアゲくんうそつかない!
ミドリさん
私と一緒にいて楽しい・・・。
ミドリさん
ホントかな。
ミドリさん
私は・・人と深く関われない。
ミドリさん
本を読んでも、セラピー受けても変われない。
ミドリさん
親にもなった。それでも同じ。
ミドリさん
私はもう後がない。
ミドリさん
このアゲアゲくんに賭けるしないんだ。
アゲアゲくん
あ!
ミドリさん
なに!?
アゲアゲくん
ここ入りましょう!
ミドリさん
コンビニ?
アゲアゲくん
はい!
ミドリさん
買物したいの?
アゲアゲくん
お腹空きました!
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
あれ?キミ食べるの?
アゲアゲくん
食べますよ!
ミドリさん
アゲタイヨウからのエネルギーで生きているんじゃなかったっけ?
アゲアゲくん
アゲタイヨウはアゲアゲ界にある太陽。
アゲアゲくん
こっちの世界で活動するには、人間と同じ。飲食が必要なのですよ。
ミドリさん
どういうカラダしてるの??
アゲアゲくん
ではレッツゴー!!
ミドリさん
ガクッ!
ミドリさん
聞いてないのね・・。
ガーー。(自動ドア開く)
コンビニ店員
いらっしゃいませー。
ミドリさん
で、何が食べたいの?
アゲアゲくん
これ!
ミドリさん
からあげクン?
アゲアゲくん
大好物なのです!
ミドリさん
・・そのまんまじゃないか。
ミドリさん
お金持ってないよね?
アゲアゲくん
もちろん!
ミドリさん
・・・。私が払うのか。
アゲアゲくん
赤と黄色とチーズ味で!
ミドリさん
そんなに食べるの?
アゲアゲくん
はい。わくわく。
ミドリさん
図々しい・・。
ミドリさん
まぁ授業料だと思えば安いものか。
ミドリさん
・・すみません、からあげクンのレギュラーと・・・
アゲアゲくん
あ、あれも!
ミドリさん
フライドポテト?
アゲアゲくん
はい!
ミドリさん
揚げ物が好きなの?アゲ者だから?
アゲアゲくん
コロッケとドーナツもお願いします。
ミドリさん
・・イラ
ミドリさん
ちょっとは遠慮しなさいよ。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
でも・・
ミドリさん
ここで機嫌損ねたらマズイな。明るく振る舞おう。
ミドリさん
いいよ。他に何かある?
アゲアゲくん
おぉ!やった!
アゲアゲくん
ではとり天と唐揚げ棒と、春巻き、アジフライ、アメリカンドッグ、アップルパイ・・・。
アゲアゲくん
飲み物はアップルティー!
ミドリさん
げ!言うんじゃなかった!空気読めよ!
コンビニ店員
ありがとうございましたー。
ミドリさん
惣菜買い占めちゃった。恥ずかしい。
アゲアゲくん
いっただきまーす!
ミドリさん
え!もう?
アゲアゲくん
早く食べたいです。
ミドリさん
ウチで食べようよ?
アゲアゲくん
僕は我慢しない主義なのですよ。あっはっは。
ミドリさん
威張るな!
ミドリさん
お店の前で恥ずかしくない?
アゲアゲくん
気にしない、気にしない。
ミドリさん
私が恥ずかしいんだってば!
ミドリさん
ウチで何か作ったげるからさ。
ミドリさん
椅子に座って食べようよ?
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
ではそうしましょう。
ミドリさん
ほ・・。
ミドリさん
ここが我が家だよ。
アゲアゲくん
おっきいですねぇ。
ミドリさん
家族4人と私の母親で同居してるんだ。
アゲアゲくん
ほう!
ミドリさん
どうしたの?
アゲアゲくん
いえいえ。
アゲアゲくん
お邪魔しまーす!
ガチャ。(アゲアゲくん玄関開ける)
ミドリさん
ちょ、ちょっと!
ミドリさん
私より先に入るな!
~リビングにて~
アゲアゲくん
広いですねー。
ミドリさん
このコめちゃくちゃだな・・。
アゲアゲくん
いっただきまーす!
ミドリさん
そうなるよね。
ガツガツガツガツ!(食事中)
ミドリさん
下品な食べ方・・。
アゲアゲくん
からあげクンはレッドが最高ですねぇ。
もぐもぐもぐ・・・(アゲアゲくん食事中)
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
不安になってきた・・。
ミドリさん
このコについていって大丈夫なんだろうか・・。
ミドリさん
「優しい人になる方法教えます」って言われたけど・・。
ミドリさん
まだ何にも教えてもらってないんだよね。
バクバクバクバクっ!(食事中)
アゲアゲくん
アップルパイおいしいー♪
ミドリさん
は!全部嘘って可能性もあるのでは??
ミドリさん
そもそもが。
ミドリさん
「前世で私と会った」なんて怪しすぎる。
ミドリさん
・・・!
ミドリさん
もしこの子が悪魔みたいなものだったら・・・。
ミドリさん
ゾク
アゲアゲくん
アップルティーください!
ミドリさん
え!?あ、はい。どうぞ!
ズバババーーーー!(飲むアゲアゲくん)
アゲアゲくん
ぷはぁ。生き返った。
アゲアゲくん
食事もいいですねぇ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
どうしました??
ミドリさん
な、何でもないよ。
ミドリさん
私は焦っている。その自覚はある・・。
ミドリさん
とはいえ・・・。
ミドリさん
得たいの知れない生物を招き入れて・・・。
ミドリさん
「このコに賭けてみよう」って・・
ミドリさん
こんなワガママな相手から優しさなんて学べるの??
ミドリさん
正常な判断できてるのか、私??
アゲアゲくん
さて、ミドリさん。
アゲアゲくん
なんで奢ってくれたんですか。
ミドリさん
え?え!?
ミドリさん
アンタが食べたいって言ったんじゃない!
ミドリさん
これから教わるからさ。その御礼だよ。
アゲアゲくん
あっはっは。ありがとうございます。
アゲアゲくん
先に御礼してくれたんですね!
ミドリさん
・・なんか腹立つなぁ。
アゲアゲくん
今、どんな気持ちですか?
ミドリさん
え?え?
ミドリさん
美味しそうに食べてたね。
アゲアゲくん
そこですか?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
・・。
アゲアゲくん
本当に?
ミドリさん
ホントだよ。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
まだなーんにも教えてない僕に。
アゲアゲくん
散々奢らされて何も感じないのですか?
ミドリさん
・・!
ミドリさん
何、コイツ!?最低!
アゲアゲくん
僕だったらこう言いますね。
アゲアゲくん
食ってばっかいないで、早く教えろって。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
このまま僕がドロンしたら食い逃げですね。
ミドリさん
さ、サイアク。
アゲアゲくん
透明になって逃げようかなぁ。
ミドリさん
やっぱりだまされていたのか・・。
ミドリさん
もうヤダ・・疲れた。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
嬉しかったですか?
ミドリさん
え?
アゲアゲくん
食べている僕を見て嬉しかったですか?
ミドリさん
・・・。えっと・・。
アゲアゲくん
正直にどうぞ!
ミドリさん
嬉しくはない・・かなぁ。
アゲアゲくん
腹が立ったでしょ。
ミドリさん
あ、えーと。
アゲアゲくん
「優しい人になる方法」のレッスン前にお話しておきます。
ミドリさん
え?
アゲアゲくん
僕は何言われても怒らないですからね。
アゲアゲくん
ありのままに話してください。
ミドリさん
私を試してたの??
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
そうだな。もう、いいや。
ミドリさん
言いたいこと言おう。
ミドリさん
気分は良くなかったよ。
アゲアゲくん
スバラシイ!
ミドリさん
・・・?
アゲアゲくん
太陽が少し昇りました。
ミドリさん
どういうことだ・・。
アゲアゲくん
ではなぜ怒らなかったのでしょう?
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
キミの機嫌損ねたらマズいなって・・・。
アゲアゲくん
・・・。
アゲアゲくん
素直な言葉、嬉しいです。
アゲアゲくん
良い感じですよ。
ミドリさん
・・??
アゲアゲくん
今、大ピンチなんですよね?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
僕にすがりたい気持ちがあると思います。
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
僕にかかれば人間関係において無敵になります!※当社比
アゲアゲくん
人間関係の天才は人生の天才!
アゲアゲくん
毎日アゲアゲ!人生最高!ハッピー♪うれぴー間違いなし!
ミドリさん
自分で言うか・・。
アゲアゲくん
それでも、なんですよ。
ミドリさん
え?
アゲアゲくん
僕には気を使わず。
アゲアゲくん
思ったことをそのまま言って欲しいのです。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
さっきなんて思いました?
ミドリさん
え?
アゲアゲくん
正直にどうぞ!
ミドリさん
「自分で言うか」・・って。
アゲアゲくん
僕はそれを言ってほしいのですよ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
自分の気持ちを言うのは苦手ですか?
ミドリさん
うん。
アゲアゲくん
なぜ苦手なんでしょう。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
言わないことが良いことだと思っているからかなぁ。
アゲアゲくん
なるほど。
アゲアゲくん
これからレッスンを進めていけば。
アゲアゲくん
「自分の気持ちを出すのが大事なんだ」と分かってきます。
ミドリさん
ホント?
アゲアゲくん
とっても大事なことを話しましょう。
アゲアゲくん
「自分はどうしたいのか」は太陽です。
ミドリさん
・・・ん??
アゲアゲくん
自分の気持ちが太陽。
アゲアゲくん
他は月です。
ミドリさん
わかんないよ??
アゲアゲくん
今のミドリさんは相手の気持ちに敏感すぎる。
アゲアゲくん
自分の気持ちに鈍感すぎる
ミドリさん
・・。あぁ、そうかも。
ミドリさん
小さい頃から周りに合わせてばっかりだったよ。
アゲアゲくん
それでは喜べないのです。
アゲアゲくん
優しさとは自分の気持ちから始まるのですよ
ミドリさん
それじゃ他人に鈍感にならない??
アゲアゲくん
大丈夫なんですよ。
アゲアゲくん
自分の気持ちこそが太陽です。
ミドリさん
私は自分がないってことなのかな。
ミドリさん
あぁ、そうだ、きっと。
ミドリさん
色んなこと諦めてきたからなぁ・・
アゲアゲくん
子どもを想像してください。
アゲアゲくん
子どもはみんな太陽が昇っています
アゲアゲくん
興味あるものに手を伸ばし、感情そのままに表現する。
アゲアゲくん
しかし。
アゲアゲくん
だんだん周りが見えてくる。
アゲアゲくん
感情のままでは生きていけないことに気づく。
アゲアゲくん
強者に愛想笑いする。
アゲアゲくん
やりたくないことをやる。
アゲアゲくん
そして評価される。
アゲアゲくん
人生が無意味に思えてくる。
アゲアゲくん
他人の答えが正しく、自分の答えは間違っている気がする。
ミドリさん
私の人生そのままじゃん・・。
アゲアゲくん
太陽は沈みます。やがて月に支配されます。
アゲアゲくん
何をやっても本質に辿りつけない。
アゲアゲくん
人を信じられない。
アゲアゲくん
相手も信じてくれない。
アゲアゲくん
表面的な優しさ、報われない優しさ、虚無の優しさになっていく。
アゲアゲくん
ゆがみのスタートは、自分の気持ちを隠していくところからなのです。
ミドリさん
月の支配って?
アゲアゲくん
自分以外に支配されることです。
アゲアゲくん
今で言えば。
アゲアゲくん
僕に支配されてましたよね。
ミドリさん
言いなりだったね・・。
ミドリさん
そういえば昔、彼氏の言いなりだったな・・。
ミドリさん
尽くしてたのに「オマエは優しくないから」でフラれちゃったんだよね・・。黒歴史。
ミドリさん
従順なことが優しさだと思っていたのかな・・。
アゲアゲくん
自分の気持ちが分かること。
アゲアゲくん
これは優しい人になる方法において必須です!
ミドリさん
・・!?
アゲアゲくん
僕を練習相手に。自分の気持ちを出してください。
アゲアゲくん
誓います。
アゲアゲくん
僕は味方です。
アゲアゲくん
アナタの人生を変えてみせます。
アゲアゲくん
必ず優しい人にしてみせます。
アゲアゲくん
それでも。
アゲアゲくん
僕に変な気を使わないでください。寂しいのですよ。
アゲアゲくん
言いたいことを言ってください。
アゲアゲくん
僕をイヤになったら、契約破棄していいですから。
アゲアゲくん
喜んでアゲアゲ界に帰りますよ。
ミドリさん
・・・。
アゲアゲくん
あ、そうそう!
アゲアゲくん
別にミドリさんのために言っているのではないのですよ。
ミドリさん
・・?
アゲアゲくん
僕は見たいのですよ。
アゲアゲくん
太陽が昇ったときのミドリさんを。
ミドリさん
・・・。
ミドリさん
優しいんだね。
アゲアゲくん
ミドリさんのおかげですけどね。あっはっは。
ミドリさん
前世での私と出会って・・・
ミドリさん
アゲアゲくんは今のアゲアゲくんになったの?
アゲアゲくん
はい!
アゲアゲくん
僕は変われました。
アゲアゲくん
ミドリさんも変われるのですよ。
ミドリさん
・・・。
【アゲアゲくんの教え】
自分の気持ちこそが太陽